非嫡出子の養育費を考慮することは不貞行為を追認するに同然である(岐阜家裁中津川平成27年(家)第76号)

岐阜家庭裁判所中津川出張所平成27年(家)第76号

以前の調停にて定められた婚姻費用を、調停以降の婚外子の誕生を理由として、婚姻費用の減額を申し立てたところ、

『重婚的内縁関係から派生した婚外子に対する扶養義務を果たすために,婚姻費用の減額を認めることは,不貞行為を助長ないし追認するも同然であり,信義則の原則に照らし,認められない』

として、認めなかった判例

 

この審判は、即時抗告され

婚外子は嫡出子と同等に扶養を受ける権利がある』

として、

抗告審(名古屋高裁平成27年(ラ)第442号

にて当然に取り消され、

婚外子は嫡出子と同等に標準的算定方式にて考慮され婚姻費用が決定された。

 

下記審判例の趣旨と同様に

婚外子が不貞行為によって誕生したことを含む一切の事情を考慮して、婚外子の養育費を婚姻費用算定において考慮しない」

として、

婚外子の存在、誕生を一切考慮せず婚姻費用の減額を認めない一方で、

嫡出子の成長による生活費の増加を考慮し、婚姻費用の増額を命じた

大阪高等裁判所平成29年(ラ)第1204号

(原審 京都家庭裁判所平成29年(家)第1237号、第1238号 も婚外子を考慮しないとの裁判)がある。

 

 

また、名古屋高裁抗告決定の趣旨と同様に

『子どもの福祉の観点から、婚外子の存在を無視したまま婚姻費用を定めるのは相当ではない』

として、

以前の審判で認められなかった、婚外子の養育費を考慮し、婚姻費用を算定した判例

大阪家庭裁判所平成26年(家)第1349号)がある。

 

 

 

 

岐阜家庭裁判所中津川出張所平成27年(家)第76号

 主文

1 本件申立てを却下する。

2 手続費用は申立人の負担とする。

理由

 第1 申立ての趣旨

 申立人と相手方との間の平成21年◯月◯日に成立した那覇家庭裁判所平成21年(家イ)第◯◯号夫婦関係調整調停事件の調停条項第2(3)のうち,平成23年◯月以降に申立人が相手方に対して支払うべき婚姻費用の分担金額を月額50万円から20万円に減額する。

 第2 申立ての理由等

 本件記録及び当庁平成26年(家イ)第◯◯号婚姻費用分担(減額)調停申立事件の記録によれば,以下の事実が認められる。

 (1)申立人は相手方と婚姻して,平成11年◯月◯日に長男C(以下「長男」という。)を,平成14年◯月◯日に二男D(以下「二男」という。)をもうけたが,平成18年◯月に相手方が◯◯市内に転居した直後の同年◯月ころ,申立人がEと不貞行為に及んでいたことが相手方の知るところとなり,相手方は,これをきっかけとして心身の不調を訴えるようになり,平成21年◯月◯日,◯◯市内のマンションに単身転居して申立人と別居した。

 一方,申立人も,同日,◯◯市内の別のマンションに転居したが,そのマンションには,Fが既に居住していた。申立人とFは,平成24年◯月◯日,◯◯市内の別のマンションにそろって転居している。

 (2)平成21年◯月◯日,那覇家庭裁判所において(同裁判所平成21年(家イ)第◯◯号夫婦関係調停事件),申立人と相手方が当面別居すること,申立人が相手方に対し別居期間中の婚姻費用として以下の金員を支払うこと(調停条項第2項)などを合意した調停(以下「前件調停」という。)が成立した。

 「(1)平成22年◯月から平成22年◯月までの間,毎月15万円

 (2)平成22年◯月は35万円

 (3)平成22年◯月から当事者双方が同居又は婚姻を解消する月まで,毎月50万円」

 (3)相手方は,平成22年◯月◯日,長男及び二男と共に◯◯県内の現住所に転居して現在に至っているが,◯◯◯,◯◯◯及び◯◯◯により就労困難な状況にあるが,不定期的に託児の仕事を請け負っている。相手方の平成26年の収入額は1万8600円である。

 (4)申立人は,平成22年◯月◯日,Fとの間の子であるGを,平成26年◯月◯日,Hとの間の子であるI及びJをそれぞれもうけ,いずれも現在までに認知している。

 (5)申立人は,現在歯科医院「K」を自営している。申立人の平成26年における収入の額,すなわち,申立人の同年分の確定申告書に記載された「課税される所得金額」は,2137万8000円である。

 (6)申立人は,平成23年◯月以降,相手方に対する婚姻費用を月額30万円しか払っていないところ,相手方は,申立人を債務者とする過去の婚姻費用に関する債権差押命令(那覇地方裁判所平成26年(ル)第◯◯号)の発令を受けた。

 これに対し,申立人は,上記差押命令の債務名義となっている前件調停の調停調書について,平成26年◯月◯日付けで請求意義訴訟(那覇家庭裁判所(家へ)第◯◯号)を提起した。

 (7)申立人は,平成26年◯月◯日,婚姻費用の減額を求める調停を岐阜家庭裁判所多治見支部に申し立て,同調停事件は当庁に回付された(当庁平成26年(家イ)第◯◯号婚姻費用分担(減額)調停申立事件)。本件審判手続は,同調停事件が調停不成立となったために審判に移行した手続である。

 2 申立人の主張

(1)別居が長期化していること

 申立人と相手方は,平成21年◯月に別居し,その後,平成22年に相手方が◯◯県内に転居した後は,◯◯県内で歯科医院を自営する申立人と別居したまま現在に至っている。このように,別居が長期間にわたり,かつ,相手方においても積極的にこれを解消しようと働きかけてもおらず,婚姻関係の破綻が決定的である場合には,相手方の生活費については,その5割程度の額に制限されるべきである。

(2)前件調停時の事情

 前回調停において,申立人は,平成22年◯月以降の婚姻費用として月額50万円の支払を約束しているが,これは,相手方が別居した後に落ち着いて仕事を始められるに十分な期間を定めて支払う趣旨であり,そもそも別居の解消又は離婚までの間,無限定に月額50万円の婚姻費用を支払うことを約束したものではない。

 現に,申立人は,平成23年◯月以降,婚姻費用の支払を月額30万円まで減額しているが,月額30万円でも婚姻費用として十分すぎる金額である。

(3)申立人の非嫡出子

 申立人は,相手方との婚姻関係が破綻した後である平成22年◯月にFとの子Gをもうけ,更に,平成26年◯月にはHとの間にも子I及びJをもうけ,いずれの子も既に認知している。

 申立人は,これらの非嫡出子に対しても扶養義務を負うものであり,現に,Gに対しては,月額15万円を支払い続けている。相手方に支払うべき婚姻費用の額を定めるに当たっては,これらの申立人の非嫡出子に対する扶養義務の存在を考慮すべきである。

(4)相手方の潜在的稼働能力

 相手方は,別居後長期間が経過し,長男及び二男の年齢が比較的高く,この監護として必要な措置がかなりの程度軽減される状況にあるはずである。相手方の健康状態についても,就労が全くできない状態であるとは考えられない。したがって,相手方には,別居後約1年を経過した平成23年◯月以降,潜在的稼働能力を有するとして婚姻費用の算定がされるべきである。

(5)申立人の収入額

 申立人は,平成26年度,広告を増やしたことや,申立人自身の労働時間を極限まで伸ばしたことなどから,過去最高の売上をあげた。しかし,申立人のような自営業者にあっては,毎年売上げは上下するものであるから,申立人の収入額は,平成26年の収入額だけで算定するのではなく,申立人が専ら歯科医院の経営による収入で生計を立てるようになった,平成21年以降の年収額の平均値によるべきである。

(6)後記3の相手方の主張(以下,単に「相手方の主張」という。)(6)の事実はいずれも否認し,主張は争う。

 開業歯科医において,Nへの加入の有無が接待交際費の金額と関係するものではない。現に、申立人は,個人事業主として,取引先等との付き合いもあることから,必要な交際費のみを経費として計上している。

 また,相手方は,申立人が仕入原価及び広告宣伝費を上乗せしてHが代表を務めるLに支払い,これが役員報酬としてHに渡っている旨主張するが,申立人が経営する歯科医院において原価率が上がったのは,顧客獲得のため,自由診療における販売価格を半額にしたためであり,仕入原価を上乗せした事実はないし,広告宣伝費についも,効果的な宣伝手法をいろいろ試して模索した結果であり,あえて過大な費用をかけて事実はない。

 3 相手方の主張

(1)前記2の申立人の主張(以下,単に「申立人の主張」という。)(1)の主張は争う。

 婚姻関係が仮に完全に破綻していても,その破綻の原因が夫の不貞行為に起因する場合は、なお夫は妻子に対し,自己の収入,社会的地位に相応する生活を保障し得るだけの生活費支給の義務がある。

(2)申立人の主張(2)の事実は否認し,主張は争う。

 前件調停において,平成22年◯月及び◯月の月額15万円から,同年◯月は月額35万円,同年◯月以降は月額50万円と婚姻費用の額が増額されているのは,まず,相手方が◯◯で一人暮らしを始め,次いで平成22年◯月に長男及び二男が相手方に合流し,同年◯月以降,相手方が◯◯にて新生活を開始し,長男及び二男の学資金の貯蓄を始める必要があったためであり,申立人が述べるような事実は存しない。

 現に,申立人は,相手方が高額な学費を要する事情があると訴えても,前件調停で合意した婚姻費用額に長男及び二男の将来の学費の貯蓄が含まれていることを理由に,長男及び二男からの学費の要請に応じていない。

(3)申立人の(3)のうち,重婚的内縁関係及び婚外子の存在は認め,その余の事実は否認し,主張は争う。

 法律上の配偶者及び嫡出子の婚姻費用は,重婚的内縁関係及び同関係から派生した婚外子の存在を考慮して減額されるべきではない。

(4)申立人の主張(4)の事実は否認し,主張は争う。

 相手方は,申立人の不貞行為等の言動に基因する精神障害により,今なお就労困難な状態である。可能な限り働こうと,託児の仕事を請け負っているが,仕事は不定期で,体調が悪い日は働くことができないため,ほぼ無収入である。

(5)申立人(5)の主張は争う。

 婚姻費用変更の基準時は,請求時である平成26年である。前件調停の後,平成26年より前の申立人の収入額を考慮する必要性も合理性もない。

(6)申立人の申告所得額に加算すべき費目があること

 申立人は,①開業歯科医であり,Nへの加入もしていないから,接待交際費が発生することは考えられない。また,②不貞相手であるHが代表を務めるLに対する仕入原価及び広告宣伝費が過大に計上されている。

 したがって,申立人の収入額を算定するにあたっては,申告所得額に,上記①に関して,接待交際費の全額214万8032円,上記②に関して仕入原価のうち685万8051円及び広告宣伝費のうち220万0317円をそれぞれ加算すべきである。

 第3 当裁判所の判断

 1 申立人は,相手方と離婚するまでの間は,未だ相手方との夫婦の関係にあるから,相手方に対し,婚姻過程の社会的地位,収入等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な費用,すなわち,相当額の婚姻費用を負担する義務(生活保持義務)を負う。この点に関する申立人の主張は,以下のとおりいずれも採用しない。

(1)申立人は,申立人と相手方の別居が長期間にわたり,婚姻関係の破綻が決定的であることなどから,申立人が負担すべき婚姻費用の額は,生活保持義務を負うものが通常負担すべき額の5割程度に制限するべきであると主張する。

 確かに,婚姻関係が破綻し,又は破綻に瀕した夫婦の間において,婚姻費用分担義務を軽減するべき場合があると解される。しかし,申立人は,前記第2の1で認定したとおり,相手方が平成18年◯月に◯◯市内で生活を始めた直後に他の女性との不貞行為に及び,それがきっかけとなって相手方が心身の不調を訴えるようになったにもかかわらず,更に別の女性と同居し,その女性との間に子までもうけている。すなわち,本件においては,別居の原因を作ったのが申立人であることは明らかであって,申立人が,相手方との別居期間が長期化している,婚姻関係が破綻しているなどと主張して婚姻費用の分担義務の軽減を求めるのは,明らかに信義に反するものであり,申立人の上記主張は採用することができない。

(2)申立人は,前件調停において合意した月額50万円の婚姻費用について,相手方の◯◯県内での生活が落ち着いた時点で減額する前提で合意したものである旨主張する。

 しかし,相手方は上記主張を否定しているところ,申立人の上記主張を裏付ける客観的な証拠は見当たらない。加えて,そもそも本件において婚姻費用の減額が認められるか否かは,申立人が婚姻費用の減額を申し入れた時点における事情変更の有無によって定まるのであって,仮に前件調停において申立人が主張するような申し合わせがあったとしても,それだけで婚姻費用の減額が当然に認められるものではない。

(3)申立人は,婚姻費用の減額は,申立人が婚姻費用の減額を申し入れた時点ではなく,事情変更のあったときから当然に認められるべきである旨主張する。

 しかし,婚姻費用については,離婚時の財産分与において当事者の一方かが婚姻継続中に過当に負担した婚姻費用の精算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができると解される(最高裁昭和53年(オ)第706号同年11月14日第三法廷判決・民集32巻8号1529頁参照)から,申立て以前の婚姻費用負担の問題については,最終的には財産分与における解決も可能であり,したがって,本件においてその申立て以前に遡って婚姻費用額を精算する必要性に乏しい。加えて,本件においては,前記第2の1(6)のとおり請求意義訴訟が係属しており,本件申立て以前の婚姻費用の支払について既に係争中であるから,本件において,この点に重ねて判断を示すことはむしろ不相当である。よって,申立人の上記主張もまた採用しない。

 2 前記1の相当額の婚姻費用とは,生活保持義務を負う義務者が,権利者及び子と同居しているものと仮定し,その世帯収入を権利者グループの最低生活費で按分した額をいうものと解されるところ,上記基礎収入の算定については,総収入に対応して租税法規等に従い理論的に導かれた公租公課の標準的な割合並びに統計資料に基づき推計された職業費および特別経費の標準的な割合から基礎収入を推定し,生活費の指数については,居宅第一種の年齢層ごとの平均基準額に基づいて,親を100とした場合,14歳以下の子については55,15歳以上の子については90として作成された算定表(判例タイムズ1111号285頁以下。以下「算定表」という。)によることが相当である。

(1)この点に関して,申立人は,①申立人には,長男及び二男以外にも子がいるから,その子らの存在を考慮すべきである。②相手方には潜在的稼働能力があるから,それを考慮すべきである。③申立人の収入額は,平成26年の確定申告額だけではなく,申立人が専ら歯科医院の経営による収入で生計を立てるようになった平成21年以降の収入額の平均値によるべきである,と主張する。

(2)上記①については,申立人が主張する,長男及び二男以外の申立人の子は,申立人が相手方との別居直後から同居を開始したFとの間の子,及びその後に申立人が婚姻外で肉体関係を持ったことにより出生した子,すなわち,いずれも,いわゆる重婚的内縁関係から出生した非嫡出子である。

 申立人は,これらの非嫡出子は,いずれも申立人と相手方の婚姻関係が破綻した後に出生したと主張するが,申立人と相手方との婚姻関係が仮に破綻しているとしても,前記第2の1の認定事実によれば,その原因は専ら申立人の不貞行為によるものと認められる。そして,これらの非嫡出子は,いずれも申立人が未だ相手方との婚姻中であるにもかかわらず,婚外でもうけた子である。したがって,これら非嫡出子に対する扶養義務を果たすために相手方に対する婚姻費用の減額を認めることは,申立人の不貞行為を助長ないし追認するも同然であり,信義則の原則に照らし,認められない。

 上記は申立人がこれらの非嫡出子に対し別途扶養義務を負うことまで否定するものではないが,少なくともこれら非嫡出子の存在により,申立人の相手方に対する婚姻費用の分担義務が軽減されることは許されない。この点に関する申立人の主張は採用することができない。

(3)上記②については,相手方は,申立人の不貞行為に起因する心身の不調に今なお苦しんでいるのであり,そもそも申立人が相手方の潜在的稼働能力を主張すること自体が信義誠実の原則に反するきらいがあるが,その点を措くとしても ,前記第2の1のとおり,相手方の平成26年の収入額が1万8600円であることに照らすと,相手方の現実の稼働状況に関する相手方の主張は十分信用することができ,これによれば相手方は現在も就労による収入はほぼ得られない状況にあるということができる。この点に関する申立人の主張も採用することができない。

(4)上記③の主張は,婚姻費用の減額は,申立人が婚姻費用の減額を申し入れた時点ではなく,事情変更のあったときから当然に認められるべきであるとの主張を前提とするのであれば,前記1のとおりその前提を欠くので,採用する余地がないし,仮に上記主張を前提とするものでないとしても,独自の見解であり採用することができない。

(5)以上のとおり,本件においては,申立人の年収額は,平成26年分確定申告書に記載された「課税される所得金額」である,2137万8000円として婚姻費用を算定すべきところ,自営業者に係る表がないため,算定表自体に当てはめて相手方の婚姻費用分担額を算定することはできず,算定表の考え方に従ってこれを算定するほかはない。

 3 そこで,本件について,算定表の考え方に従って婚姻費用分担額を算定する。

 申立人は自営業者であるから,その基礎収入の割合は49パーセントないし54パーセントとされている(算定表参照)ところ,申立人の年収額は上記のとおり2137万8000円である(この点に関する相手方の主張をどのように取り扱うかについては,後述する。)から,基礎収入の割合を最低の49パーセントと見積もっても,その基礎収入額は1047万5220円に上る(21,378,000×0.49=10,475,220)。他方,相手方の年収額は1万8600円であるが,その職業費を考慮すれば基礎収入は零と考えるべきである。したがって,申立人及び相手方が同居しているものと仮定した場合の世帯収入は,1047万5220円となる。

 このうち権利者(相手方)の世帯に割り振られる婚姻費用は743万8924円(10,475,220×(100+90+55)÷(100+100+90+55)≒7,438,924)となる。そして,義務者(申立人)から権利者(相手方)に支払うべき婚姻費用分担額も上記金額,月額に換算すると61万9910円(7,438,924÷12≒619,910)となる。

 4 結語

 以上のとおり,申立人が相手方に支払うべき婚姻費用分担額は,前件調停において定められた月額50万円を上回ることはあきらかであるから,婚姻費用の減額請求は認められない。

 なお,相手方は,申立人の年収額について,平成26年分の確定申告書に記載された所得額に接待交際費,並びにLに対する仕入原価及び広告宣伝費が過大に計上されている分を加算すべきであると主張するが,この点を考慮しなくても本件申立てに理由がないことは明らかであるから,相手方の上記主張について判断を示す必要はない(もっとも,接待交際費については,申立人が開業医であること及びNに加入していないことのみから接待交際費が発生する可能性がないとまでいうことはできない。また,Lに対する仕入原価及び広告宣伝費に比べてこれらの費目の増加が著明であるとはいえないし,相手方が主張するその余の点も,Hに渡す生活費がこれらの費目に上乗せされていることを確認させる事情とまでいえない。したがって,相手方の上記各主張については,いずれもこれらを認めるに足りる証拠はないと考える。)

 よって,本件申立ては理由がないので却下することとし,主文のとおり審判する。